裁きと、ゆるし

ヤコブの手紙 1章17節
「すべての良い贈り物、また、すべての完全な賜物は、上から来るのであって、光を造られた父から下るのです。」

裁きと、ゆるし

最近あまり面白い本がないので、しばらく読書から離れていたのだけれど…
直木賞とか芥川賞の受賞者の本を書店でパラパラと見ても、あまり読みたいと思ったことがなかった。
ところが、馳 星周という直木賞作家の「少年と犬」という本はどうしても気になり、TSUTAYAで最後の一冊になっていたものを購入した。

面白くて面白くて、あっという間に読んだ。犬が主人公だったせいかもしれない。私自身が物を書く人間として、”うまいな~”とつくづく言葉の選び方、流れに感心してしまう。

どうしてもこの作家の別の本が読みたいと調べてみたところ、馳 星周氏の得意分野はミステリーとかサスペンス!!それらは好きじゃないけれど、「神の涙」という題名にシンパシー!
取り寄せてもらうと1700円もする、分厚い本。

北海道の孤高の木彫りの老人と、東京で両親を交通事故で亡くし、その老人に引き取られた中学生の少女。少女は自分にアイヌの血が流れていることでいじめに遭い、そのことを憎悪している。中学を出たら東京に行くことだけを夢見ている。ある日、その老人(実は著名な木彫り作家)のもとに、ある青年が福島からやってくる。老人の作品である熊の置物を青年の祖母が異常なほどに大切にしていたと言う。しかし震災で祖母は流され、その熊も…。青年の母も仮設住宅で亡くなり、祖母と母が愛着していた熊の置物の記憶を頼りに、木彫り作家の弟子になるべくはるばるやってきたのだ。

最後のほうで分かることだが、その老人には妹がおり、やはりアイヌの血を恨み、都会へと去ってしまっていた。その妹が東京で結婚し、生まれた娘の子がその青年。つまり老人にとって青年は甥にあたる関係であった。

しかし青年は過去に仲間三人とともに殺人を犯していた。福島の原発事故のため仮設住宅で亡くなった母を想い、また同じようにその事故で辛い思いをした仲間とともに、東電の社長を誘拐して福島の人たちに謝らせようという計画であった。殺すつもりなど、まったくなかった。何度も下見したゴルフ場で、林にボールを打ち込み、社長がボールを探しに来たところを拉致した。見つけておいた倉庫に連れ込み、自衛隊出身の仲間の一人が騒ぐ社長をおとなしくさせようと殴ったら、後ろに倒れてあっけなく死んでしまったのだ。予想だにしなかった出来事に混乱し、死体を川に流し、三人はそれぞれに逃げた。仲間の一人が警察に捕まったが完全黙秘したが、調べたあげく捜査の手は北海道の青年にたどり着いてしまう。その後、さまざまなことが起きるが、結局二人は自首する。

「神の涙」というタイトルに、何か神様に触れることが書いてあるのかと思ったが、そうではなかった。ある意味作家の得意分野であるサスペンスの手法にはまり、読みふけってしまったが…。

ただ最後のほうで、その青年が、アイヌの木彫りの老人が時々口にするアイヌの考えを言うシーンがある。
「アイヌのお爺ちゃんが、よく言うんです。人の罪を罰するのは、神様の仕事。人にできるのは、ゆるすことだけだって
その青年は、「ゆるそう、自分を置いて逝ってしまった両親をゆるそう、頑固で恐ろしかったお祖父ちゃんをゆるそう、自分をいじめたクラスメートたちをゆるそう、だだをこねていた自分をゆるし、自分を受け入れるのだ」そうつぶやいた。
あー、私はこの箇所のためにこの本を選んだのだ。神様に選ばせていただいたのだと、深く想った。

アイヌの人々は山に入るとき必ず祈る。
「山の神様。川の神様。今日一日分の食料をください」と…。
木の実や植物、川の魚、時には鹿や熊でも、その動物にも感謝の祈りをささげる。
アイヌやインディアン、もちろんキリスト教ではないけれど、彼らはすべての物は天の上にいらっしゃる方の物、与へられ、感謝し、又、大いなる絶対的な力への畏敬の念はとても純粋で清い気がする。

人間はそれを忘れ、今、天変地異、コロナへとつながってしまった。
私は北海道に30年住み、アイヌのことも少し学んだ。そして今、横浜。この作家の馳 星周氏も北海道出身、横浜の大学を卒業している。
今、家の近くには、聖書の翻訳をしたヘボン博士の邸跡がある。
総てが…全てが主の導きであろうか…。
あー面白い!あー素敵!あー楽しみ!主よ、ありがとうございます。
「毎日喜んでいなさい。」主のお言葉通りです。

空が青い…
船の汽笛が聞こえる…
黒柳眞理

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